【講義紹介】メーカーのおしごと~開発業務編~
※こちらの記事では、パチンコ・パチスロメーカーでの商品開発における業務の流れについて知ることができます。
突然ですが皆様、「1つの機種が世に出るまでには2~3年かかる・・・」みたいな話聞いたことありませんか?
具体的に何にどの程度の期間がかかって、なぜそこまで期間がかかるのか、今回はその辺りを掘り下げて解説してまいります。
と言うことで今回は、開発職についての講義紹介後編。開発業務編です。
皆様よろしくお願いします。プランニング講師バシタカです。
商品開発プロジェクトは、タイトル(IP)の選定&取得など、はじまる前にも様々な準備がありますが、それはまた機会があればご紹介するとして。
今回は、〇〇の開発をはじめるよ!となったところからパチスロの開発プロジェクトを例に追っていきましょう。
ざっくり言ってしまうとこんなステップ。
プロジェクトの規模に応じてそれぞれにかける期間は大きく変わってきますし、②→③の流れが数回ループしたりします。
ダメなプロジェクトほどループ率が高いです。
さてそれでは、それぞれのステップをもう少し掘り下げていきましょう。
①企画立案
こんな機種をつくる!と言うことを決める花形的なプロセス
ここで商品の方向性が決まりますので、細部まで自分の思い描いた機種をつくりたい!と言う方はこの役割を目指しましょう。
②制作作業
開発期間の大半をしめるプロセス
まずは開発部門の各部署から様々な専門スキルを持った人たちが集まってプロジェクトチームが結成されます。
おさらいで前回の図をもう一度見てみましょう。
例によって、メーカーによって一部または全てが外部発注だったりしますが、何にせよチームが結成されたら企画内容が共有され、皆が同じ目的に向かって走り出します。
プロジェクトキックオフですね。
さてそれでは、前回に引き続き商品企画部門にクローズアップして、今回は役割の内容をもう少し掘り下げていきましょう。
〇ディレクション(指揮・監修)
企画立案をした本人が担当することが多いプロジェクトリーダー的ポジション
プロジェクトチーム全体の制作物を指示/監修しながら指揮を執ります。船頭ですね。
この役割自体は作業負担として重くないので、1人が複数プロジェクトを掛け持ちしたりすることもあります。
私も3プロジェクトくらいは普通にありますし、ディレクション専門の方であればもっとあってもおかしくないですね。
〇メインデザイン(主制御設計)
パチスロ開発における”メイン”と言うのは一般的な“主役”や“中心”と言うニュアンスではなく、「主基板関連」のことを指します。ややこしいですねー。
この役割は、出玉抽せん仕様や出玉設計、リール配列やリール停止制御なんかの制作を担当します。
複数人いることが多いですが、1人でもまぁイケます。
〇サブデザイン(周辺制御設計)
同じくこちらは「周辺基板関連」のことを指します。
演出抽せん仕様や演出頻度設計(出現率/期待度調整)、演出構成の考案や制作を担当します。ここは最もボリュームが多く作業も膨大なので、複数人であたります。
と言う感じで大きく分けるとこのような役割分担をしながら、制作を進めていきます。
③試打~意見収集
一旦仮で途中経過を実機に載せてみて、皆で打ってみます。
段階によってはまだまだバグってたり正常に動かなかったりするわけですが、大体のゲーム性は分かりますので、実際に打ってみて見えてきたものに対して皆で意見を出し合います。
もちろん開発チーム外の人にも打ってもらいますし、開発部門以外の人たちや場合によっては社外の人にも打ってもらって意見を収集する、なんてこともあります。
意見はあくまで意見ですので取り入れるかどうかはチームに委ねられるわけですが、「なるほどそういう視点もあるのか!」なんて意見と出会えることもあるので、品質向上のためにはとても有意義なフェーズです。
④修正作業
制作と試打を繰り返し、完成に向けた最終調整と修正作業のフェーズです。
最終版が完全に見えている状態なので、それに向けた調整を行います。
修正は、ゲーム性の修正と言うよりも実機上で意図と異なる挙動(=バグ)がないかをチェックするデバッグです。
市場に出たあとにバグが発覚したら大変ですから、この期間は皆ピリピリしてます。
パチンコ・パチスロは、ゲーム等と違ってリリース後にアップデートで修正なんてできませんからね。
万が一修正必須な致命的バグが出てしまったら修正作業に期間を取られるのに加えてデバッグがやり直しになり、申請時期が遅れ、結果ホール導入が遅れることになってしまいます。
⑤申請準備作業
型式試験申請用の書類を作成します。
必要な書類とルールが法で定められていますのでそれに則って作成しますが、申請書類はその名の通り紙です。しかも膨大です。
エコじゃないですよねー。
と言うことで、ようやく今年から電子化されることになり今後は少しは楽になりそうです。
ちなみにこの期間中も④のデバッグ作業を並行して継続しています。
最後の最後まで、入念にチェックです。
さて、以上が開発作業の概要です。
駆け足でざっくりといきましたが、講義内では各作業の詳細を具体的に解説しています。
ご興味があったら体験講座をはじめとしたオープンキャンパスにどうぞ!お待ちしております。
さて、これらの開発作業が終わると中身は完成していますので、市場に出るのは目前と思われそうですが、実は全然まだまだです。
と言うことで次回は、メーカーのおしごと番外編:ホールデビューまでの道のりをお届け予定。
ご期待ください!
■プロフィール
プランニング講師バシタカ
パチスロのエンタメとしての可能性を妄信する元開発者
この業界の将来のためになるか否かが全ての行動指針
パチスロ商品企画職として実務経験13年(うちメーカー11年)
・ディレクターとして企画/指揮したプロジェクト(パチスロ機種)は8機種
・マネジメントを含めて、関わった機種は計22機種
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