【講義紹介】ホールデビューまでの道のり
※この記事では、パチンコ・パチスロの開発が終了してから世に出るまでの流れについて、その概要を知ることができます。
商品開発が終わったら販売?設置?
違います。
パチンコ・パチスロ業界では、開発が終わってから販売にこぎつけるまでに最大の壁があるのです。
と言うことで今回は番外編:ホールデビューまでの道のりをお届けします。
皆さんよろしくお願いします。プランニング講師バシタカです。
ホールデビューする前に存在する最大の壁と言えば、パチンコ・パチスロファンの方はよくご存じかと思います。
よく「適合した!」とか「検定通った!」なんて言われるものですね。
さて、一般的に「検定」と呼ばれることが多いこちらの壁ですが、正しくは「型式試験」と言います。
大雑把に言えば、完成した遊技機を試験機関に持ち込んで、適法か否かが試験されます。
適法か否か、とは?
出玉性能面の試験と言う認知が広いですが、主制御プログラムのソースコードも細かくチェックされ、結果が同じであっても処理の順番やタイミングが違ったらダメだったり、なんなら演出面でも細かいルールがあったりします。
型式試験申請は、準備が出来たら試験機関の予約枠に応募し、抽せんの結果予約が取れたら試験が開始されます。
2週間後の予約を抽せんするのですが、抽せんと言うくらいですから、もちろんハズレることがあります。当たるまで抽せんを受け続けます。
まぁ当たるまで回すのはいつものことですけど、いつもと違うのが一つ。
こいつに天井はありません!
予約が取れるまでの期間を仮に1週間としても、予約が取れてから試験が始まるまでに2週間、更に試験が開始されてから結果が出るまでに、長いと2か月くらいかかります。下手すると3か月かかることもあります。
その上で、終わったら良いわけじゃないですからね。適合していないといけません。
まぁ不適合の場合は基本的にはそんなに期間かからずに結果が返ってくるのですが、なんにせよ不適合になると予約取得からやり直しです。
適合するかどうかは設計によって期待値が変わりますが、これも抽せんみたいなもんです。
いまんとこ2戦突破式CZに見えているかも知れませんが、実際は試験の中で4戦くらいあるので、5戦突破くらいです。
そうですね。アレですね。
更に、当然スルー回数天井はありません。
これを一つずつやっていてダメだったらまた一戦目から・・・とやっていたらとんでもない期間がかかるので、中身が同じ型式を同時期に複数試験に持ち込むのが通例です。
どれか1つ通ればOKと言う訳ですね。
ただし、1型式毎に試験費用は発生しますし、1型式目が適合したから残りは取り下げ!とすることはできますが、したところでお金は返ってきません。
まぁこれは試験の手数料なので仕方がないのですが、そうなってくると、スロッター諸君はここで一つ疑問が生じますよね。
それ、2つ以上当たってたら(適合してたら)どうなるの?って言う。
あれ?オーバーキルしてるけどストック?
あ、エピソードボーナス的なのに昇格?
も、もしかして上位AT直行ですかー!?
みたいな。
ありません!無駄引きです!
ドーン!適合ストック!みたいな感じで次の新機種に使えたら最高なんですけどねー。
なかなかのクソ台厳しさですねー。
さて、話を戻します。
なんやかんやで適合が出たとして。
いよいよホールデビューか!と言うと・・・
まだです!
次は、各都道府県の検定申請に持ち込みます。
え?だから検定ってさっきのじゃないの?と思われる方もいらっしゃると思います。
一般的にはさきほどご説明した型式試験が「検定」と言う言葉で認知されていることが多いのですが、本当の「検定」と言うのは別にあります。
「おたくの県のパチンコホールに、この機種を設置してもいい?」
と言うのを都道府県公安委員会に対して行います。これが、本当の検定申請です。
これが通ると検定通過情報として公に情報が出ますので、〇〇が検定通った!となるわけです。
これが、一般認識で型式試験と検定がよく混同される主要因でしょうね。
さて、この検定。
型式試験に適合していることが前提なので滅多なことではNG出ませんが、基本的に全都道府県に申請しますし、都道府県によっては固有の資料が必要な場合もあったりして、多少期間(1~2週間くらい)を要します。
ここまで終わってようやく、ホールに設置が可能になります。
なりますが、各ホールさんに購入してもらうためには新台購入予算を確保してもらう必要がありますから、営業活動は基本的には2~3か月後の導入に向けたものになります。
そしてこの営業活動は、そもそも型式試験に適合した後でないと行えません。
適合後に各ホールさんに向けた営業活動を開始すると同時に、並行して検定申請を行うようなイメージですね。
と言う訳で色々足しますと、
概算でこんな感じ。
開発が完了してからで見ると、ホールデビューするまで大体半年くらいかかると言うことですね。
これが、スタートしてから2年の内訳です。
他業界でもそうだと思いますが、企画職の人間にとって今ヒットする商品の企画を考えるのは実は簡単なんですよ。
商品企画と言うのは市場とユーザーニーズ分析の専門家であり、仕事中以外はほとんどホールにいるような奴らです。
ホールにいる間は、今打っている台の分析はもちろん周囲のお客さんの反応も見ながら市場分析をしています。
彼らにとって、今満たされていないニーズ→今必要とされている要素→今ヒットする商品なんてものは、もうそこに答えがあるようなもので、簡単に出ます。
ですが、2年後ヒットする商品の企画を考えるのが企画者の仕事です。
今の市場を見て、2年後の市場を予測しその市場でヒットする企画を考える。
そしてこの市場は、流行り廃りや価値観相場の移ろいがめちゃくちゃ速いです。
2年前の機種のことを思い出してもらえればなんとなくお分かりいただけるかと。
皆さん、新機種情報を見ていて、短いスパンで別々のメーカーから似たような機械が連続して登場するなーと思ったことありませんか?
ここまで読んでいただいてお分かりの通り、別に見てから直したり作ったりしてる訳じゃないんです。
単に、他メーカーの企画者と思考が被ったってことなんですよ。
つまりこの市場予測と言うものには、他メーカーの企画者がこう言うことを考えてやってくるだろうという心理戦も含まれるのです。
被った場合、仮に効果的な企画だったとしても基本的に後発が不利です。
だからこそ、バグが見つかって結果ホール導入が遅れるなんてことは絶対避けたいんです。だからデバッグ期間は皆ピリピリしてるのです。
各メーカーの新商品はホールに設置されてからの稼働対決に見えますが、実際の勝負は2年前の心理戦から始まっている、と言うことですね。
難しいですが、当たった時は最高に気持ち良いですよー。
面白そうと思ったあなた!G&Eでお待ちしております!
さて、長くなりましたが今回のジャーナルはここまで。
実際の講義では、そんな企画職に役立つ思考法などを紹介しながら企画メソッドを教えています。
ご興味ある方は、まずは体験講座をはじめとしたオープンキャンパスへどうぞ!
さて、次回は年明け。
引き続き講義紹介をしていくか一旦ちょっと脱線するかまだ考え中ですが、こちらもどうぞお楽しみに!
それでは皆さん、良いお年を!
■プロフィール
プランニング講師バシタカ
パチスロのエンタメとしての可能性を妄信する元開発者
この業界の将来のためになるか否かが全ての行動指針
パチスロ商品企画職として実務経験13年(うちメーカー11年)
・ディレクターとして企画/指揮したプロジェクト(パチスロ機種)は8機種
・マネジメントを含めて、関わった機種は計22機種
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